茶碗蒸しに…

二泊のお客様には茶碗蒸しを提供している。
どこに行っても出てくるつまらぬ芸の無い料理に見られがちだが、お年寄りのお客様でまず食べ残しは見られないのである。
浜に来て茶碗蒸しなんて、どちらかと言えば賛成できないがお袋の得意料理の一つで気に入っているようなので、無理には献立から外すのもどうかなと考えている。
どうせ出すなら旨いものをということで、付け添いの三つ葉を採りに走った。
H森山の途中の湿地帯に、たくさん出ている。
採ってきて植えても、どこでも簡単につくがやはり数年すると香りが悪くなり栽培品と変わらなくなってしまう。
生で刻んで茶碗蒸しに入れると、かなり味が引き立つのである。ついでに鱒汁に入れるセリも採った。
セリは種類は同じだが二通りの呼称がある。丘ぜリ(オカゼリ)と水ぜり(ミズゼリ)である。
土に生えているか、水の中に生えているかである。わかり易く言えば、田んぼに生えたセリが田植えで水を導入してくる為に、水の中に浸っている状態になるのだ。
ミズゼリになると多く収穫できるが、オカゼリはあまりたまらない。
今日採ったのは、オカゼリである。こちらの方が断然香りも強く栽培品との差が歴然だが、ミズゼリの方が栽培品に近く好きだという意見も結構聞くことがある。
天然が栽培よりも全て旨いとは言い切れないが、セリも言い切れない一品であろうか?