孟宗汁

春の味覚、孟宗汁を作って食べました。
庄内特有の郷土料理です。

庄内では、湯田川孟宗、谷定孟宗と有名産地がありますが、
三瀬だって中々どうして、負けておりませんよ。

「湯田川孟宗にも勝るとも劣らない」と言いたいところですが、
私のところの中華そば処にも湯田川地区から多くのお客様も
来ますので、気分を悪くされても困りますので、
ここでは「双璧」と書かせて貰います(爆)

産地は、三瀬の水無産です。私のところのスタッフが朝掘りして、
届けてくれました。三瀬孟宗の講釈は後ほどします。

まずは完成品です。

孟宗汁の出汁で不可欠なのが、金頭という魚です。
旬の孟宗に旬の魚「金頭」は当然です。

大ぶりになると値が高くなりますので、
出汁が出れば良い訳ですから、小ぶりのやつで十分です。

入手出来ない時は、普通にサザエさんの弟出汁でも美味しく
頂けます(笑)

さて、主役の孟宗竹は無造作に切ればOKです。
良質の孟宗は軟らかいですから、大きく切っても厚く切っても
関係ありません。

ただ、酒粕を入れてコトコト煮込むなら、味が染みて良いですが、普通の味噌汁で食べるなら、あまり大きめに切ることはお勧めしません。

トッピングは旬の山菜や海産物がやはり合います。

イッポンコゴメです。

ゼンマイ程の太さのコゴメです。素晴らしいコゴメです。
こんなコゴメ、誰が採って来たのでしょうか?(爆)

まあ、好みは分かれますが、木の芽(山椒の葉)なら
更に価値が上がるでしょう。

コゴメよりも簡単に採れるのは言うまでもないですが、
入れると子供達が喰いやがりませんので入れません(爆)

そして、鰹の妹です(笑)

今の時期、多少海が荒れた後に海岸に行くと拾えます(爆)

脇役も大事です。不可欠なのが厚揚げです。
油で揚げていますので、汁が熱々になりますし、コクもでます。
ですので豆腐を入れる馬鹿はいませんよね?(爆)

昔は、厚揚げも高級食材で、どこの家庭でも食べれた訳でもなかった
ですから、孟宗汁には厚揚げの代わりに、菜種油を入れて旨みを増した時代もありました。

厚揚げも入れられないのに、豚肉など言語道断。

しかし、現代は誰でも入れられます。普通の三枚肉で上等です。
孟宗汁に肉など邪道だと言う人もいますが、はっきり言って旨いですよ(笑)

二ラブサは一応、画像にありますが、お好みで良いんじゃないでしょうか。

いやぁ~。完食です。いくら何でも満腹です(爆)
この日は、これと「爽」3合で終わりでした(笑)

最高に旨かったです。チャンナギサ有難う。ご馳走様!

さて、三瀬孟宗を推す理由としては、庄内の孟宗の原点が三瀬であっただろうと信じて疑わないからです。

まずは日本に初めて孟宗が移入されたのは、ご存知、元文元年(1736)です。

薩摩の島津藩主によって、二株の孟宗竹が持ち込まれて、その後江戸の薩摩屋敷に株分けされて、鹿児島と江戸の二箇所から全国に広まったとされているのはあまりにも有名な話です。

この後、まもなく三瀬にも孟宗があったのでは?という文献があるのです。

天明年間(1780~)に杉山廉が書いた「おそさくらの記」の中にあります。
その資料です。関連のあるところを黄色で塗りました。

気比権現にお参りに行き、気比台の池を見に行く途中で、
虎でも伏すような竹林があり珍しく見、周りが一尺(30cm)もあり
その竹に名前を彫りつけているものもいたとあります。

周囲一尺ならば、他のカラダケ類ではなく、孟宗竹以外は考えられません。

杉山廉が見たと記しているのなら、必ず見たと確信できます。

杉山廉は歌人で、庄内藩主組頭の杉山宜葵(よしとし)の娘で、
幼い頃は江戸で生活をしながら、五、六歳で既に和歌を詠んだと云われています。

そんな人が、カラダケ類と見間違いなんかは無いというのが私の
考え方です。少なくとも5寸そこらと1尺を見間違える事は無いと言う事です。

そして、更に追加講釈させて貰うと、一般的には海岸付近の集落には
孟宗林は極めて少ないのが常識。

しかし、三瀬地区にはいたるところに孟宗林があるのです。
歴史性を秘めていると思いませんか?

さて、蛋白や脂肪は今でこそ多く摂れます。というか摂り過ぎて
病気になっている人も多くいますが、昔は中々摂れませんでした。

そんな事から、孟宗汁にも菜種油や酒粕などを入れる様になったと
分析できます。

しかし、孟宗と酒粕は、上記の理由とは全く関係の無い
別の関係があったと昔人に聞きます。

昔の造り酒屋は、ほぼ財産家です。自ずと山を多く持っていました。

そんな事で、酒を造れば酒粕が出ます。孟宗林に酒粕を肥やしとして撒いたと聞きます。

そんな山の孟宗は、他の山の孟宗とは別次元に美味しかったと言うのです。
孟宗と酒粕は昔から切っても切れない関係でもあったのです。

地元三瀬での一例を挙げましょう。

石塚きよし商店さんの山の孟宗です。
現在は酒販売ですが、以前は造り酒屋でした。

鹿児島産、広島産、京都産と日本を代表する孟宗がありますが、
それらと比べても全く別次元です。

それもそう。鹿児島産とかが我々の口に入るのは掘ってから、どのくらいの
時間が経っているかです。

我々調理人、曲がりなりにも板前、というか板後と言ったところでしょうか
(爆)それらのみならず、一般の消費者も孟宗は魚と同じに考えなくてはいけません。

地元産の旨い孟宗の掘り立てを現地で食べるのが、その人に
とって日本一旨い孟宗という事になるのです。

かなり長々と能書きをたれましたが、途中の文章で意味不明の箇所が
あるかもしれないですが、いつもご覧になっている人なら即座に
分かりますが、分からない人の為にヒントを載せましょう。

以下です(爆)

では、今日も宅呑み「爽」4合コースです(涙;)